natureによると、英国のバイオテクノロジー企業Oxitecが、子孫が残せないように遺伝子操作した蚊を野外に放つ実験に米フロリダ州で着手したことがわかりました。
Oxitec社が開発した遺伝子組み換え蚊「OX5034」は、同社がself-limiting geneと呼んでいる遺伝子を組み込んだオスのネッタイシマカ(Aedes aegypti)で、その子孫は成虫になる前に死んでしまうため、生きた殺虫剤として害虫駆除に機能することが期待されています。
Oxitecは、10年以上前から米フロリダ州での野外実験を当局に申請していましたが、ヒトや環境への影響を懸念する地元住民の反対もあって、なかなか承認が下りませんでした。しかし、2000年8月にようやく地元当局から承認され、2021年4月に蚊の卵が入った箱が設置されたとのことです。計画では2021年から2022年にかけて、7億5000万匹もの遺伝子組み換え蚊が野に放たれることになっています。
2014年4月にビル&メリンダゲイツ財団が発表した報告書では、蚊は地球上でもっとも危険な生物とされ、年間72万5000人ものヒトが蚊によって(蚊が媒介する感染症で)亡くなっているとされています。ネッタイシマカも黄熱病、ジカ熱、デング熱などの感染症を媒介する蚊であり、今回の実験によって個体数を減少させる効果が証明できれば、公衆衛生学的に大きな意義があると考えられます。
ただ、先だってブラジルで行われた野外実験では、思うような結果とならなかったことがScientific Reportsに報告されており、果たして今回は期待される効果が証明されるでしょうか。
・First genetically modified mosquitoes released in the United States | nature
・Our Technology | Oxitec