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レプチン上流の遺伝子多型が非喫煙者の口腔がんリスクに(中山医学大学)

中山医学大学のWei-Chen Hung博士らが、口腔扁平上皮がんとレプチン遺伝子の上流にある遺伝子多型LEP -2548 G/Aとの関連を明らかにしました。

Hung博士らは、台湾人の口腔がん患者567例健常者560例を対象とした症例対照研究を行い、口腔扁平上皮がんLEP -2548 G/A (rs7799039)との関連を解析しました。その結果、非喫煙者において、祖先型であるA/A型に比べ、A/G型では口腔がんになるリスクが有意に高いことがわかりました(AOR=2.078、95%CI=1.161-3.720)。A/G型とG/G型の合計でも同様でした(AOR=2.002、95%CI=1.143-3.505)。ただし、喫煙者のみ、あるいは喫煙者と非喫煙者を区別せずに解析した場合には、有意差は見られませんでした。一方、口腔がん患者567例のがん進行度に着目したところ、A/A型に比べ、A/G型ではがん進行度が有意に低いことがわかりました(AOR=0.670、95%CI=0.454-0.988)。

なお、LEP -2548 G/Aはレプチンのコード領域から2548塩基上流にある遺伝子多型で、Gアレルに対し、Aアレルのほうが遺伝子発現が増加し、レプチンの分泌が2倍になることが報告されています。LEP -2548 G/Aの頻度は人種差があり、1000 Genomes Projectによるアレル頻度では、東アジア人はGアレルが26.9%、Aアレルが73.1%に対し、アフリカ人はGアレルが96.8%、Aアレルが3.2%となっています。

[遺伝子情報]
・遺伝子:Leptin
・染色体:7番染色体
・SNP:rs7799039 [dbSNP][Ensembl GRCh37]

[文献情報]
・著者:Wei-Chen Hung et al.
・タイトル:Leptin -2548 G/A polymorphisms are associated to clinical progression of oral cancer and sensitive to oral tumorization in nonsmoking population.
・掲載誌:J Cell Biochem [IF=2.959]
・掲載年月日:2019 Apr 25
・PubMed:PMID:31021458

ほか、原文は下記リンク先をご覧ください。

DOI: 10.1002/jcb.28776

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