細胞の構造と機能(前編)から続きます。
小胞体
小胞体は一重の膜で包まれた管状もしくは袋状の構造をしています。
小胞体には、粗面小胞体と滑面小胞体の2種類があります。
粗面小胞体は、表面にリボソームが付着しており、これによって表面が粗くみえることから粗面と呼ばれます。リボソームで合成されたタンパク質を受け取ることで、膜タンパク質や分泌タンパク質の合成を行っています。
滑面小胞体は、表面にリボソームが付着していない小胞体です。こちらでは脂肪酸など脂質の合成や毒物の解毒を行っています。
リボソーム
リボソームはrRNAとリボソームタンパク質で構成されます。大きく2つのパーツにわかれ、40Sと60Sと呼ばれています。
リボソームの働きはタンパク質合成の場となることです。
リボソームには細胞質に遊離状態で存在するものと、小胞体や細胞骨格に付着しているものがあります。このうち、遊離のものは連なってポリソームと呼ばれる状態を形成し、細胞内タンパク質の合成を行っています。
ゴルジ体
ゴルジ体は一重膜で包まれた偏平な袋が密に積み重なった構造をしています。
小胞体から輸送されてきたタンパク質の修飾や濃縮を行い、細胞外に送りだす働きを担っています。修飾では糖鎖の付加やリン酸化などを行います。
リソソーム
リソソームはゴルジ体由来の一重膜構造をしています。
リソソームの中には加水分解酵素が含まれ、オートファジー(自食作用)と呼ばれる細胞内消化に働いています。
東京工業大学の大隅良典栄誉教授はリソソームが関与するオートファジーの仕組みの解明し、2016年ノーベル生理学医学賞を受賞されました。
出典:産経新聞号外平成28年10月3日
ペルオキシソーム
ペルオキシソームはリソソームより小さい一重膜構造をしています。
ペルオキシソームの中にはカタラーゼなどの酸化酵素が含まれていて、有害な過酸化物質を回収する働きがあります。
また、ペルオキシソームでは長鎖脂肪酸のβ酸化も行われます。
今回のポイント
小胞体
- 一重の膜で囲まれた管状または袋状の構造。
- 粗面小胞体:表面にリボソームが付着。膜タンパク質や分泌タンパク質の合成を行う。
- 滑面小胞体:脂肪酸など脂質の合成や毒物の解毒を行う。
リボソーム
- 核小体でつくられたrRNAとタンパク質で構成され、40Sと60Sの2つの部分からなる。
- タンパク質合成の場。
- 細胞質に遊離状態で存在するものと、小胞体や細胞骨格に付着しているものがある。遊離のものは連なってポリソームとなり、細胞内タンパク質の合成を行う。
ゴルジ体
- 一重膜で囲まれた偏平な袋が密に積み重なった構造。
- 小胞体から輸送されてきた分泌タンパク質の修飾や濃縮を行う。修飾は糖鎖の付加やリン酸化などを行う。
リソソーム
- ゴルジ体由来の一重膜構造。
- 中に加水分解酵素を含み、細胞内消化を行う。
ペルオキシソーム
- リソソームより小さい一重膜構造。
- 中にカタラーゼなどの酸化酵素を含み、有害な過酸化物質を回収する。
- 長鎖脂肪酸のβ酸化を行う。