生化学の2日目の今回は、生化学を学習するにあたって最低限確認したい生物学の知識を解説します。
生体を構成する元素
世の中で知られている元素の種類は118種類が知られていますが、生体を構成しているのはそのうちのほんの一部でしかありません。
人体中に多く存在している元素(多量元素)は次のようなものです。
出典:桜井弘、Functional Food、Vol.6 No.3、2013
生体の96%がたった4種類の元素で作られていることがわかります。
ほかには次のような元素で体が作られています。
出典:桜井弘、Functional Food、Vol.6 No.3、2013
以上11種類の元素で生体のほぼすべて(99.3%)が作られるのです。
このように118種類の元素の種類からすれば限られた種類の元素だけで生体が作られていますが、その背景には生命誕生の歴史が関わっています。すなわち、生命は海水中で誕生したという説があり、これを『生命海洋起原説』といいますが、そのことを支持するデータとしてヒトの血漿と海水の元素の元素組成が似ていることが報告されています。
出典:桜井弘、廣村信 、現代化学、No.360、2001
生体を構成する物質
次に、生体を構成する物質としてはどのようなものがあるでしょう?元素の体内存在量では多量元素と呼ばれる酸素、炭素、水素、窒素の4種類で生体の96%が作られることをみました。それらの元素からできる物質、それが生体を構成する物質になります。
人体を構成する物質は次のようなものです。
まず、水がもっとも多く存在しています。水(H2O)は水素(H)と酸素(O)からできていますね。人体は水をベースにできているのです。
水に続いて、タンパク質、脂質、糖質、核酸と続きます。これらは有機化合物です。有機化合物は炭素を骨格とする物質でしたね。そのため炭素(C)や水素(H)を特に多く含んでいます。また、タンパク質には窒素(N)が、核酸にはリン(P)が豊富に含まれています。こうした有機化合物が全体の31.6%を構成しています。
そのほか無機化合物は少ない割合ですが、これらも重要な働きをすることも知られており、決して無視できる存在ではありません。
今回のポイント
- 生体を構成する主要な元素は水素、酸素、炭素、窒素である。
- 生体を構成する主要な成分は水、タンパク質、脂質、糖質、核酸である。