気になる生化学シリーズ、今回は酵素の4回目として、酵素活性の調節のお話です。
今回のクエスチョンはこちら、
- 律速反応ってどんな反応?
- アロステリック酵素ってどんな酵素?
- フィードバック阻害とは?
こうした問いに答えられるよう解説したいと思います。
律速酵素
生体内の物質代謝では、いくつもの酵素反応が連続して起こります。こうした一連の酵素反応のなかで、最も反応速度が遅い反応を律速反応といいます。また、律速反応を触媒する酵素を律速酵素といいます。
律速酵素は、一連の代謝系の足を引っ張っているようにみえますが、代謝系全体の反応速度は律速反応に依存することになりますので、律速酵素の活性次第で代謝系全体がコントロールされます。
アロステリック酵素
酵素の活性中心とは別の部位に調節因子となる低分子化合物が結合することによって、酵素の立体構造が変化して、酵素活性が高くなったり低くなったりすることがあります。このような性質をもつ酵素をアロステリック酵素といいます。また、アロステリック酵素において、調節因子が結合する酵素の部位をアロステリック部位といいます。
アロステリック酵素は律速酵素によくみられ、一連の代謝系の流れをコントロールするために利用されています。このとき、前後の反応経路で生成される物質が調節因子となることがあります。
このとき、代謝系の最終生成物がその前段階にある酵素反応を抑制するような場合、これをフィードバック阻害といいます。一方、代謝系の最初の基質がその後段階にある酵素反応を活性化するような場合、これをフィードフォワード調節といいます。
アロステリック酵素の反応速度と基質濃度の関係はS字状(シグモイド曲線)に変化します。
アロステリック酵素の反応では、基質濃度が低いときには基質濃度に比例せず反応速度が小さくなりますが、ある特定の基質濃度以上では急激に反応速度が大きくなるという性質があります。
今回のポイント
律速酵素
- 生体内の物質代謝では、いくつもの酵素反応が連続して起こる。こうした一連の酵素反応のなかで、最も反応速度が遅い反応を律速反応といい、律速反応を触媒する酵素を律速酵素という。
アロステリック酵素
- 酵素の活性中心とは別の部位に調節因子となる低分子化合物が結合することにより、酵素の立体構造が変化して、酵素活性が調節されることがある。このような性質をもつ酵素をアロステリック酵素といい、調節因子が結合する酵素の部位をアロステリック部位という。
- アロステリック酵素は律速酵素によくみられ、一連の代謝系の流れをコントロールする。このとき、前後の反応経路で生成される物質が調節因子となることがある。このとき、代謝系の最終生成物がその前段階にある酵素反応を抑制するような場合、これをフィードバック阻害という。一方、代謝系の最初の基質がその後段階にある酵素反応を活性化するような場合、これをフィードフォワード調節という。
- アロステリック酵素の反応速度と基質濃度の関係はS字状(シグモイド曲線)に変化する。アロステリック酵素の反応では、基質濃度が低いときには基質濃度に比例せず反応速度が小さくなるが、ある特定の基質濃度以上では急激に反応速度が大きくなる。